令和3年度 文部科学省委託事業

0 はじめに――地域高齢者等の食生活向上を支援する訪問食育福祉人材養成プログラムの開発

 元号が平成から令和に変り、新時代の幕開けを迎えた昂揚感も束の間、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、人々の生活様式も大きく変ることを余儀なくされました。

 そうでなくても、この令和の時代には、今後も起り得る大規模災害への備え、進展する国際化の中で誰もが安心して共生できる地域社会の創生、そして加速する少子化・高齢化への対応等、我々が真剣に取り組まねばならない課題が山積しています。

 平成の時代は、個人・個性が尊重される一方で、人々の孤立・孤独化が進んだ時代であったと言えます。無論、我々は今後も、個人・個性が尊重され、多様性を保障する社会を築いてゆかねばなりません。
その一方で、婚姻件数は減り、少子化も益々進んでいます。また、家族・親族や近隣との関係が希薄になり、様々な “生き辛さ” を一人で抱える人も増えています。このような個人の孤立・孤独化が更に進んだ場合、果して我々の社会は持続可能か――これが平成から積み残された大きな課題です。

 令和の時代は、個人・個性が尊重されながら、人々が孤立しない・孤独にならない――そのような社会でありたいと考えます。そのためにも、時代に即した新たな互助の在り方について議論し、その仕組づくりに取り組んでゆく必要があります。

 そこで、当校は令和2~3年度の2年間、地域の産業発展や課題解決を担う人材を養成する教育機関として、社会変化や地域ニーズに対応し得る実践的な職業教育プログラムの開発に取り組むことにしました。それが本事業「地域高齢者等の食生活向上を支援する訪問食育福祉人材養成プログラムの開発」です。

 訪問食育福祉人材は、食生活・栄養改善の重要性を啓発して地域包括ケアシステムの推進に寄与する人材で、健康課題を入口にして地域高齢者の食生活や栄養摂取を支援し、それに必要な情報発信や相談役を担える専門性を有します。地域高齢者が医療や介護への依存を減し、健康で充実した日常生活を送るためには、彼らへの食育(健康栄養教育)が不可欠だからです。

 そして、この訪問食育福祉人材を養成する教育プログラムの開発を通して、本事業では、主に次の3点を企図しています。

  1. 一人暮し高齢者数が全国最多の東京都において、調理・栄養と介護福祉で分野横断的に地域課題の解決に貢献する専門職業人を輩出する。
  2. 留学生の受入れ数が全国最多の東京都において、主に調理・介護分野の留学生の就職を促進する。
  3. 調理師・栄養士や介護従事者の複線的なキャリア形成や留学生の新たな職域開拓に寄与する教育モデルを構築・普及する。

 このような調理・栄養・介護の分野横断的かつ地域の今日的要請に応える教育プログラムの開発は、専修学校として新しい取組であり、これからの時代に求められる互助の仕組づくりに資するものと自負しています。

 最後に、本事業の実施には、実施委員会・分科会を構成する委員各位、そして数々の協力者から多大なるご支援を頂戴しました。そのご厚情に心から感謝を申し上げます。

「地域高齢者等の食生活向上を支援する訪問食育福祉人材養成プログラムの開発」実施委員会
(代表機関)
学校法人織田学園 織田調理師専門学校

事業報告書PDF(約40MB)
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当ウェブサイトは、令和3年度 文部科学省 専修学校による地域産業中核的人材養成事業(地域課題解決実践カリキュラムの開発・実証)において、学校法人織田学園 織田調理師専門学校が受託した「地域高齢者等の食生活向上を支援する訪問食育福祉人材養成プログラムの開発」の活動内容および事業成果を取り纏め、広く公開するものです。